› 左官屋の嫁はん日録 › 左官あれこれ › 倉敷美観地区を左官目線で偵察。

2011年08月30日

倉敷美観地区を左官目線で偵察。

ほんとうに四十数日も夏休みを付き合ってきたのか。と、いま振り返ると信じられない気持ちです。

家事に育児に宿題にと出来ばえはともかく、よくやったよな、と自分を褒めておかなくては。

でないと来年の夏につなげられそうな気がいたしません。

倉敷美観地区を左官目線で偵察。

夏休みも終わるころ(慰安)旅行も兼ねて家族で岡山県の倉敷市ではおなじみの美観地区に行って参りました。

兼ねた、のは左官仕事の参考になるものをさがしに。

嫁はんは倉敷美観地区は小学生のとき以来。

主人と子供たちは人生初だとか。




なにせ一番おどろいたのは近いこと。

家から一時間もかからない。

瀬戸大橋を渡ることが、ものすごく大変で大層なことだと思い込んでいました。

なので気が付けば四国を脱出したのも2年振りだったり!

ただ、これを往復するとなると結構な金額になりますが、それは致し方なし。



倉敷美観地区を左官目線で偵察。

そこで左官職人は見つけました。

公共のトイレの中で。


『蛍壁(ほたるかべ)』です。

かなり控えめな模様ではありますが。

倉敷美観地区を左官目線で偵察。

初見です。

なんとまぁ贅沢な御手洗いなんでしょうか。


古くから京都の方で茶室に設えられる『蛍壁』だそうですが、知る限りでは身近で民家に施工されたという話は聞いたことがありません。

あったとしても、ごくごくわずかであり、レアだと思われます。
(ウチ、やってるよ!って方いらっしゃいましたらご一報ください。見学させていただきたいです^^;)



なぜに『蛍壁』とよばれるのか。

それは天然の壁材に混ぜられた砂鉄が錆び、そのシミが蛍の光の輪のように広がりをみせるので、そう名付けられたようです。

砂鉄を混ぜる割合で模様(シミ)の大きさが決まるようです。

ネットで検索をかけて出てくるのは、ずいぶんと渋めで主張の強い『蛍壁』ばかりですが、こちらの御手洗いのは、錆び模様が広がるほどではありませんでした。

このくらいの大人しめな感じなら一般住宅はもちろん、和風だけに限定せずナチュラルな雰囲気もかもし出せると思うので店舗なんかにも似合いそうですね。

なかなかいろんなイメージが膨らみます。



倉敷美観地区を左官目線で偵察。

蔵の一面を被う海鼠(なまこ)壁はまるでモザイクタイルのようです。
これが防火の効果もあるのですからなんて機能美なんでしょう。






土壁はさまざまな種類があり、それからさらに配合によってまた、一つひとつちがった表情をみせます。

左官職人さん、また蛍壁のサンプルを作ってみようと意気込んでいました。



旅の途中で何の気無しに拝借したお手洗いでの思わぬ収穫でした。




同じカテゴリー(左官あれこれ)の記事
CMに出演しています
CMに出演しています(2016-09-19 09:56)

土壁にサビ、出現。
土壁にサビ、出現。(2014-10-03 10:07)


※このブログではブログの持ち主が承認した後、コメントが反映される設定です。
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。