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2014年10月03日

土壁にサビ、出現。

画像は新装オープ直前のものですが、こちら詫間町の居酒屋『えびす』さん。
土壁にサビ、出現。

二年ほど前に左官仕事で大変お世話になったのですが、壁にサビが出たらしいとのこと。
それは見に行かねば、ということで行って参りました。

【before】
土壁にサビ、出現。
完成直後の、ひび割れ壁です。
風合いを楽しむために、あえてひびが入るように材料を調合しています。
“納屋”によく使われているものとほぼ同じ材料と思っていただければ。
ひび割れは材料の配合で調節しますが、 ひび割れ具合(割れ方なんか)は予想はしてもあとは自然に任せるだけです。
でも、良い感じに割れてくれたと思っています。


【after】
土壁にサビ、出現。
あれから二年の月日が経ちました。
しっとりとした深みのあるサビが出ています。
下から照明をあてることで深みがさらに際立っています。
怪しさのような上品さのような不思議な雰囲気です。
これを「カビが生えた!」「壁が汚れた!」と思われる方もおいでますが、こういう黒っぽいのはサビなんです。
土の中に錆びやすい成分がたくさん含まれていた。
それが錆びて、この壁はこのようになった。それだけのことです。

サビの価値が高い低い、というのではなく「渋い!」とか「かっこいい!」という好みの問題でしょうか。
私や主人はそれが“良い”と感じたからというのもありますが、 完成すぐの壁を覚えているからこそどんな風に変わっていったのかも見てみたかったんです。
またこのサビもいつ出てくるのか、どのくらい出るものなのか、錆びやすい成分の量、もろもろの環境に左右されるそうです。
土壁にサビ、出現。
ちなみに、こちらは推定築70年の納屋ですが、土壁は白っぽいまま。
壁が古いか、新しいかはあまり関係ないようですね。

土壁にサビ、出現。

居酒屋『えびす』さんの“ひび割れ壁”は戸を引くと真正面から出迎えてくれます。
田舎の風景になじみのある者にとって納屋と同じ素材というものはどことなく懐かしさも感じます。
お立ち寄りの際にはぜひ一度目を通していただければ。










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