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2012年03月06日

職人が息づく町工場、のぞいて来ました。

四国唯一の鏝メーカー
高松市『株式会社 山西』さんの工場を見学させていただくことになりました。


「ちょっと見ていく?」
思いがけない言葉と、細い通り道を見ると子どものようなワクワクする気持ちが自然に沸きあがります。
職人が息づく町工場、のぞいて来ました。
商店街の通りからは決して見えない裏側はどんなことになっているんでしょう。


不思議なにおいがしています。
ススと古い油がまじったようなにおいがします。
職人が息づく町工場、のぞいて来ました。
「あぁ、これやったんや。」とさっそく歓喜に似た声が。


鏝を入れる“炉”です。
職人が息づく町工場、のぞいて来ました。
金物素材の鏝はすべてこの炉の中に入れられます。
いままで鏝の作成をいろいろとお願いすることはあっても、工場を見たことはなかった、と主人。


左官道具の『鏝』は炉に入れたあと“なたね油”で刃金を締めるそうです。
どうりで油のにおいがしたわけです。よく、しならせる為でしょうか。
日本刀の場合“水”で締めるようです。
なたね油で締めることができるのには驚きました。

締め方の違いで硬さが変わるそうです。



職人が息づく町工場、のぞいて来ました。
どうやって鏝の持ち手と刃金部分をつないでいるのか。

どういう道具でヤスリをかけて磨いているのか。
職人が息づく町工場、のぞいて来ました。
そして微妙にゆがんだものは、どうやって手直ししているのか。

じきに製品になる鏝の一部。まだ磨かれていません。
職人が息づく町工場、のぞいて来ました。




鏝は真っ二つに割れない限り、少し ちびたり、少々の歪みは直せば何十年も使うことができる。
毎日のメンテナンスを欠かさなければ本当に長持ちします。
なので“商売”で考えると、そんなに売れまくるものではないんだけど。と山西の奥さんは笑って話されていました。

いちど手に入れると次に変えるまで何十年。
そんな長持ちする道具ですから作り手(職人)が育つのは本当に時間がかかることです。
仕事の成果を感じられるまで、気の遠くなるような時間を費やすので若い子が来てもすぐ辞めてしまうんだ、ということも話されていました。
何の職人にしてもきっと同じことだと思います。“残す”ことの難しさと重要さ、本当に痛感しました。
『職人』になるには忍耐力、集中力。そして何よりも目先のことばかりにとらわれない先を見通す力が不可欠だということ、ですね。





お昼休憩の時間でしたので作業を見ることはできませんでしたが左官職人が普段使っている道具がどのように、どのような人の中で、場所で、作られているか。
少しの間ですが触れることができました。
職人が息づく町工場、のぞいて来ました。

職人の道具は職人が作っていました。
きっとまた明日から道具に対する思い入れも いちだんと深くなることでしょう。

山西の皆さま、ありがとうございました。



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