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2011年07月13日

ちょっとマニアなお話。

左官職人が使う肝心要の道具。

そして"左官"と言えばこの道具。

それはもちろん『鏝・こて』です。

左官職人が使用する鏝を作成するのにも職人がいます。


香川県で唯一の手打ち製造メーカー「山西」の鏝。
ちょっとマニアなお話。
大きさは違えど本焼きの同じ種類の鏝です。

見た目の違いは本当に大きさだけです。



しかし鏝をクローズアップして見てみると大きな違いが。
ちょっとマニアなお話。

そうなんです。
鏝職人の印入りなのです。

「義春」さんとは山西の先代です。
残念ながら今はもう、お亡くなりになられています。

ちなみに向かって画像左側のもう片方。
ちょっとマニアなお話。
メーカーの印のみ。

同じ種類の鏝なのに、なぜ職人の印があったりなかったりするのか。
機械で大量生産されたものとの違い?
いえいえ、印がないものでも先代の職人義春さんが、ちゃんと作成されているようですよ。



じゃあ違いは何なのか。

印が入れられている場所にご注目。
職人の間では(少なくとも香川の)この部分を“背中”と読んでいます。
この背中に印が入れられているということは、焼きを入れる工程の前に印を入れてるんですね。

鏝職人さんが焼きを入れる前に「この鏝は必ずいい鏝になる!」とすでに分かっているということになります。
ようするに鏝職人の“お気に入りマーク”という感じ。

そして使い心地も格別に違うようです。
当たり前ですよね、自分の名前を残そうと思えるだけの誇れる作品なのですから。

この話を主人から聞きまして職人が使う道具も職人が作っていたりするんだなぁ、と当たり前ながら少し感慨深くなりました。


このような印入りの鏝はもちろん早い者勝ちで売れていくそうです。





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