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2012年02月25日

オーダー、イメージはフェルメールブルーで。

“フェルメールブルー”という言葉をご存知ですか。

オーダー、イメージはフェルメールブルーで。
ヨハネス・フェルメール 『真珠の耳飾りの少女(青いターバンの少女)』

フェルメールブルーはウルトラマリンから採取する超高級な天然顔料。
いわゆる“群青色”です。
フェルメールはこの天然顔料にこだわり続け借金まみれであったとか。
美術の教科書で見かけた記憶はありませんか。
あと『美の巨人たち』のOPで登場していますね。


“フェルメールブルー”
お施主さまから聞くまで耳にしたことがありませんでした。
検索してみると「ああ、これかぁ」と納得。
オーダーして下さったお施主さま
法要があるため、この機会に床の間の壁を塗り替えたいとのことで相談を受けました。
そして後には雛人形を飾るのに似合うものにしたい、と。

はじめは「ブルーで。」と伺っていました。
ブルーといっても濃淡からどっち寄りのブルー系なのか、たくさんあります。
淡い色の水色のようなかんじかな、と思い“浅黄色”で提案していましたが却下(笑)

それでこの“フェルメールブルー”が良いんだ。
そう聞いてやっと、はっきりとしたイメージが掴めました。
うん、勉強になります。


土に顔料を混ぜ壁のサンプル作り。
(大津壁と呼びます。漆喰ではありません。)
残念ながらこの顔料はウルトラマリンではございません。
オーダー、イメージはフェルメールブルーで。
仕上げ方法は『磨き』です。
『磨き』は下地に半紙一枚の薄さで塗り仕上げていきます。

先週の左官ワークショップを思い出し「やってみたい」と申し出たところ激しく断られました。
ものすごく神経を使う作業だそうです。
そりゃそうですよね、半紙一枚の薄さですから。





いきなり、ぶっつけ本番で壁を仕上げることはほとんどありません。
どうゆう壁にしたいのか。
どんなもの、色が好みなのか。
生活スタイル、家族構成。
事前のヒアリングは欠かせません。
希望どおりにお話が進むこともあれば施工する環境によって難しい場合は別の提案もしています。

その上でサンプル作成に取り掛かります。
個人が作るものなので、とても時間はかかりますが、そのぶん失敗や意見の行き違いは生まれにくいです。

オーダー、イメージはフェルメールブルーで。

画像の色はすごく濃いですが乾くと、びっくりするほど色が薄くなります。
色が薄くなったら困るからといって好きなだけ顔料を入れまくれば良いかというと、強度の面からそういうわけにもいかず。

乾いてからのお楽しみですが、どのような仕上がりになるか正直わかりません。
フェルメールブルーに近い色になるよう願うばかりです。






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この記事へのコメント
大津磨きですか!
凄い、ハイレベルな仕上げですね!!
御主人は、どちらで修行されたんですか?
また、経過や色々サンプルなど、差し支えなければアップしてください!大津磨き、頑張って下さいね!!
Posted by 森谷 at 2012年02月27日 12:43
>森谷さん
いえいえ^^;
大津壁の磨き仕上げ主人のなかでは、まだまだ挑戦し試行錯誤している段階のようです。

身内が左官業を営んでいた関係でこの仕事をつづけています。
生業にしたきっかけとしては、よくあるお話ですが職人を育てることに関しては広まりにくいのかもしれませんね。
いま香川の左官業界はちょっと元気がありません…。
話は逸れましたが主人のものでよければ出来るかぎり色々とUPしていきたいです。
磨き仕上げのサンプル成功はもちろん気に入ってもらえると良いなと思います!
Posted by 嫁はん嫁はん at 2012年02月27日 22:03
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