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Posted by あしたさぬき.JP at

2011年12月14日

昔ながらの漆喰の作成。

左官壁の材料に代表される漆喰。
そのなかでも『本漆喰(ほんじっくい)』は主にお城や蔵などに使われる気品ただよう真っ白の壁。

原材料はといいますと。
●消石灰(石灰岩をとある製法にて粉末にしたもの)
●麻スサ(紙スサだったり)   *藁スサではありません!
●海藻のり

と、とてもシンプルかつ本当にナチュラルなもの。
『本漆喰』と『漆喰』の違いはその内容。
漆喰といってもガラス繊維のスサが入っていたりボンドが入っていたりするものもあります。


材料のひとつ「海藻のり」のご紹介です。
ワラがくっついていますが、乾燥させるときに敷いていたムシロの破片だと思います。

"のり"とあるので接着効果があるのかと思いきや。
どちらかと言えば海藻のりに保水効果があるので漆喰の粘り気を出すために混入されます。
粘り気が出ることにより左官職人にとって、とても塗りやすいものになるのだそうです。
ようするに鏝離れが良くなる=鏝にベタベタくっつかない。


まるで絨毯のように分厚く鎧のような重さ。
鉄の板を切るハサミでないと太刀打ちできません。

昔はこの布海苔(ふのり)、銀杏草、角叉(つのまた)などの海藻を現場で煮炊きして抽出したものが使われていました。
しかし、いまでは粉末化された粉末海藻のりが主流となっています。
普段は粉末海藻のりを使用していますが、それをわざわざ自宅で炊いて煮込んでいるわけですが、なぜ?


本当はやっぱり煮炊きした布海苔の方が粉末にくらべ格段に粘り気が違うのです。
(職人にとってとても塗りやすいということです)

ぐらぐらに炊くこと約一時間。
家中なんだかアラメのような臭いが充満しておりました。

いくら海草とはいっても長いあいだ臭いを嗅ぎつづけていると鼻の奥が痛くなります。
見た目がどろっとしてきたら完了。
炊き込む時間、じつは適当なんだそうです。

ザルでこしています。
こす、といっても海草が入らないようにしているだけ。
バケツに残った出汁?これが『本漆喰』の材料のひとつになります。


こんなに凝った昔ながらの製法の漆喰、いったいどこで使うんでしょう?



  
タグ :漆喰布海苔


Posted by 嫁はん at 11:46Comments(2)漆の家にて